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個人事業主、株式会社、合同会社、一般社団法人の違いについて

個人事業主・株式会社・合同会社・一般社団法人の違いとは?
違いを抑えて自分にあった事業を展開しよう

事業を展開するにも、様々な形があります。個人事業主・株式会社・合同会社・一般社団法人の4つの違いを把握し、どの形態が自分の事業にあっているか、確かめることが大切です。この記事では、それぞれどのような特徴やメリット、デメリットがあるかについて解説します。

4つの事業形態は、個人と法人の2種類に分かれる

個人事業主・株式会社・合同会社・一般社団法人の4つですが、これらは大きく、個人事業主と法人との2つに分かれます。

個人と法人の違い

個人と法人との大きな違いは、「人格」にあります。個人事業主は「自然人」ですが、法人には法律上の「人格」が認められています。

「自然人」とは、私たち一人ひとりの人格を意味します。例えば、普段の生活の中で、銀行の口座にお金を入れたり、買い物をしたりするときは、自分個人の名前で行うはずです。私たち一人ひとりの人格の単位が「自然人」であり、一人ひとりに人格が認められているからこそ銀行口座の利用や買い物もできるのです。

一方、法人は一般的に、個人が集まり、お金を出資しあって事業を行うことが多いため、「自然人」のままでは契約するにあたって「誰が責任者なのか」が不明瞭となります。そこで、会社名義で契約や売買ができるように、「法人」という人格が認められています。

法人は、「法人」としての人格を持つため、原則として契約や売買を行った際の効果は、法人に対してのみにしか及ぶことがありません。言い換えると、契約や売買を行った際に得られる権利、あるいは義務も、原則として法人を運営する個人には及ばないということになります。

4つの事業形態の持つそれぞれの特徴

個人と法人との違いを踏まえ、個人事業主と株式会社、合同会社、一般社団法人それぞれの特徴についてみていきましょう。

個人事業主とは

個人事業主とは、文字通り「自分自身で事業を営む個人」のことです。一般的に「屋号」をもって運営されることが多いです。「屋号」とは、「株式会社」や「合同会社」などの名称がつかないものです。よくある屋号としては、「〇〇屋」や「〇〇サービス」などがあります。

個人事業主は、事業年度が1/1~12/31と決まっているのも特徴のひとつです。1年間の売上や経費の申告は、2/16~3/15の間に確定申告を行い、税金を納付します。

個人事業主のメリット

個人事業主のメリットは、事業開始のハードルが低いことです。例えば事業を開始する際に資本金が不要なので、費用負担も少なく、開業届を提出するだけで個人事業主としてスタートできます。決算の手続きについても、確定申告で行えるため、法人に比べると手続きは比較的簡単といわれています。個人で小さな店を経営する場合は、法人にするより個人事業主として経営するほうがいい場合も多いでしょう。

個人事業主のデメリット

個人事業主の場合、事業用の財産や債務は、基本的に「事業主個人」のものとして扱われます。つまり、事業用の預金や不動産などが事業主個人の財産として扱える一方で、借入金やローンも、たとえ事業用目的のものであっても、事業主個人に返済義務があるということです。

事業がうまくいっているときはいいですが、経営が悪化した場合でも最後まで返済義務を負うこと(無限責任)になるので、注意が必要です。事業と個人が同一として見られるため、銀行融資の審査も厳しくなりやすいです。

また、日本の場合、所得税は段階的に税率が上がる仕組みになっているため、所得が多くなればなるほど、税金も高くなります。一定の所得を超えると法人税より税率が高くなるため、税金面では不利になる可能性があるでしょう。個人事業主は法人に比べ、節税策が限定される面もデメリットとして考えられます。

その他、個人事業主の場合、国民健康保険や国民年金の加入となるため、老後の保障としては社会保険より手薄になりやすく、何らかの対策を取っておく必要がありそうです。

株式会社とは

株式会社は、株式の発行によって資金を集める形態の会社で、法人の中でもポピュラーな事業形態といえます。現在、株式会社は資本金1円から開業することができ、資本金の金額によって、大企業と中小企業とに分かれます。

株式会社の場合は、会社で得た利益の中から経営者や役員、従業員に給料を支払う仕組みになっているので、事業用のお金と事業者個人のお金とを分離できるのも特徴のひとつです。

株式会社のメリット

株式会社の大きなメリットは「有限責任」であることです。事業主個人の財産や債務と、会社の財産・債務は明確に区別されるため、万が一会社の事業が失敗しても、原則として債務の弁済は出資金の範囲内で行うことになり、事業主個人の財産から弁済する必要はありません。

会社と個人のお金を分けられることにより、節税効果は法人の方が大きくなりやすいです。順調な経営が続いていて、今後も事業拡大を考える場合には法人化したほうがいい場合もあるでしょう。

株式会社のデメリット

株式会社のデメリットは、会社設立にあたって資本金の用意や、定款の作成や法務局への登記などの手続きが必要になることです。決算申告についても、個人事業主に比べ内容が煩雑なので、人によってはハードルが高く感じることもあるでしょう。

また、株式会社の場合は、赤字でも最低7万円程度の維持費がかかります。事業が軌道に乗らないうちは、費用負担が大きく、苦しい時期が続くかもしれません。

合同会社とは

合同会社は持分会社といわれる会社の種類です。基本的に株式会社と同じような事業形態で、資本金1円以上で設立でき、責任は「有限責任」です。

合同会社と株式会社との違いは、株式会社は会社の運営を取締役が行い、資金の提供をする株主は運営に参加しないのに対し、合同会社は原則として出資者全員が会社の運営に参加することです。新たな出資者を追加する場合も、出資者全員の同意が必要になるため、出資者同士の信頼関係によって運営される会社といえます。親族や親しい人と小さな会社を作るのに適した形と考えられます。

合同会社のメリット

株式会社と同じような特徴を持つ合同会社ですが、設立費用が安いというメリットがあります。一般的に株式会社の設立には20~25万円程度が必要ですが、合同会社の場合6~10万円程度とで済むことが多いからです。また、決算の申告についても、株式会社は決算公告義務があり、官報などに掲載する費用が必要ですが、合同会社の場合は不要です。設立時の費用負担が少ないことから、個人事業主から法人成りをする際、家族経営で将来的にも事業規模を広げる予定がない場合などは、合同会社を選択するケースも多いです。

合同会社のデメリット

合同会社の場合、株式会社に比べると社会的な信用度、認知度は低いのがデメリットといえます。株式会社に比べ、イメージがわきにくい面があることから、

一般社団法人とは

一般社団法人は、法律に基づいて設立された「利益を目的としない法人」のことです。株式会社との違いは、一般社団法人が「非営利」であるのに対し、株式会社は「営利」活動を行うことです。ただし、一般社団法人の「非営利」とは、利益を出してはいけないわけではなく、得た利益を社員に分配しないことを意味します。活動によって利益に余剰が出た分については、翌年に繰り越しをします。

また、「非営利」というと、ボランティアや奉仕活動をイメージするかもしれませんが、一般社団法人の活動内容は自由です。法人として人格が与えられるため、株式会社同様、会社と個人とのお金は分離できます。

一般社団法人の場合も、設立には定款認証や登記の手続きなど、株式会社と同じような手続きが必要で、費用もかかります。ただし登録免許税については株式会社より安価ですむのが一般的です。

一般社団法人のメリット

一般社団法人の場合、「非営利」なので、福祉や地域振興など、限られた一部の事業については、収益事業以外の所得として、税金が免除されるメリットがあります。

さらに、一般社団法人は最低2人から設立でき、たとえ1人になったとしても解散する必要がないのも特徴です。設立後、小規模でも活動を続けられる可能性が高いでしょう。

一般社団法人のデメリット

一般社団法人の場合、非営利事業と営利事業を明確に分けて管理しなければならないので、事務処理は複雑になりやすいです。規模によっては税理士など、専門家の手を借りる必要があるでしょう。

また、すべてが非営利とみなされるわけではなく、34種類の事業については収益事業と決められており、課税対象となるのにも注意が必要です。税金の優遇を目的に、収益事業をしない方針で設立するとしても、その事業が収益事業に該当する場合は、法人税の免除はされません。

その他、一般社団法人は事業規模を広げたいと思っても、株式上場ができないというデメリットもあります。株式上場は利益を追求する目的で行うものであり、一般社団法人の「非営利」という目的から外れるためです。もし資金が必要になった場合は、事業収益を上げるか、基金制度を利用することになります。ただし、基金制度には返還義務があるので注意が必要です。

個人事業主、株式会社、合同会社、一般社団法人の違いを表にして比較 最後に、4つの事業形態の特徴を表で確認しましょう。

個人事業主 株式会社 合同会社 一般社団法人
開業 不要(税務署に開業届の提出は必要) 20~30万円(法人の設立登記など) 10万円程度 11万円程度
廃業 不要(税務署に届け出は必要) 必要(解散登記に10万円程度必要)
資本金 不要 1円以上 0円
責任の範囲 無限責任 有限責任
申告 確定申告
会計ソフトがあれば、税理士は必要ない
自分でするには限界がある。
税理士コストがかかる
税金 個人の所得税など 法人税など
決算 12月末 自由
赤字の繰り越し 3年 10年
会計 簡単 複雑
社会的信用度 低め 高め
経費が認められる範囲 交際費などに制限あり 比較的広く、節税手法あり
生命保険 経費計上不可 経費計上可能
社会保険 国民健康保険、国民年金に加入
(小規模の場合、社会保険に加入不要)
社会保険、厚生年金に強制加入
赤字の場合 税金はかからない 最低でも8万円近くの税金が発生 最低でも8万円近くの税金が発生(ただし非営利型の場合、免除または減免措置の可能性あり)


まとめ

個人事業主、株式会社、合同会社、一般社団法人という4つの事業形態は、それぞれ個人と法人とに分けられます。個人事業主は比較的開業のハードルが低いのが特徴ですが、債務がある場合、最後まで弁済責任が生じる、「無限責任」であることには注意が必要です。

一方、株式会社や合同会社、一般社団法人は、個人事業主と異なり、ある程度設立費用が必要で、手続きも煩雑になりやすいです。ただし、法人としての人格が認められていることから、有限責任であり、個人と事業とのお金を分離することもできます。 法人の場合、事業規模や事業目的、今後の事業計画などによって、どの事業形態を選べばいいかも変わってくるでしょう。それぞれの違いを把握し、事業内容に合った形を選択することが大切です。

株式会社設立の方法について

どうやって株式会社を設立するの?
株式会社設立方法を流れに沿って解説

株式会社はいくつかある会社の種類の中で、最もポピュラーな形態です。設立すると、個人事業主に比べ節税や資金調達などの面でメリットが生まれやすくなります。今回はこの記事で、株式会社の概要や設立する場合の流れとポイントなどについてご紹介します。

株式会社とは

株式会社とは株式を発行し、投資家から資金を調達して事業を運営する会社のことをいいます。公開会社であれば株式を購入することで、誰でも株主になることが可能ですが、小規模会社の場合は、非公開会社にすることが多いです。非公開とは株式を市場に公開しないことです。非公開にすることで、経営支配権の奪取などのリスクを減らし、舵とりがしやすいメリットなどがあります。

株式会社の場合、会社の運営は取締役が行い、資金の提供者(株主)が運営することはありません。ですが、株式会社の株主になると、事業が順調に進み利益が出た際には、「配当金」という形で還元されることもあります。もちろん事業が失敗し、会社が倒産すれば株の価値もなくなることになります。

株式会社は法人格を有し、設立することで税制面での節税効果も見込むことができます。また、有限責任なので、万が一倒産し、債務が残っているとしても、個人には返済義務がないのも特徴です。さらに、最もポピュラーな会社形態であることから、社会的な信用度も高いです。今後事業を拡大するつもりがあるなら、株式会社の設立を選択するのもひとつでしょう。

一般的な株式会社設立の流れ

具体的に株式会社はどうすれば設立できるのか、一般的な流れを見ていきましょう。

  1. 会社設立準備・基本事項の決定
  2. 定款作成
  3. 資本金の払込
  4. 登記書類の作成
  5. 法務局に登記申請
  6. 登記後、税務署など各種行政などへの手続き
  7. 金融機関に口座開設


会社設立準備・基本事項の決定

株式会社を設立するにあたっては、基本事項を決める必要があります。一般的に決める必要がある項目は以下の通りです。
項目 内容
商号 基本的に自由だが、類似商号に注意(銀行業でない場合の「銀行」という文言や、有名企業の名前の使用も不可)
本店所在地 会社の住所を決める(同一商号がなければ登記可能)
事業の目的 対外的に見て何をする会社か、中心となる事業を決める (ただし、定款に記載しないことを事業として行えないため、将来的に行う可能性があれば記載するほうがベター)
資本金額 事業開始時の運転資金を決める(1円から可能だが多ければ多いほど自由に使えるお金も増える)
株式数(設立時の発行数、上限数) 定款認証時に定める必要はないが、定款に定めない場合は会社成立までに定款を変更して定めなければならない (非公開会社を除き、設立時発行可能株式総数は発行可能株式総数の4分の1を下回ることはできない)
公告の方法 官報・新聞・電子公告、いずれかの方法を選択する
株式譲渡制限の有無 株式会社が発行する株式は自由に譲渡できるのが原則だが、乗っ取りを防ぐなどの目的から、定款に記載することで制限を設けることができる(中小企業の場合は制限を付けるのが一般的)
事業年度 自由に決められるが1年を超えて設定することはできない (申告は原則決算日から2か月以内という点や繁忙期も考慮して決めるのがベター)
出資者 出資者(発起人)を決め、氏名または名称、住所を印鑑証明書通りに記載する(出資者は株式会社設立後、株主となる)
役員(取締役・代表取締役等) 設立時の取締役や代表取締役の選任および任期を決める
商号を決める際は、類似商号に気を付けなければなりません。インターネットの検索エンジンを利用し、似たような会社がないか確認しましょう。

類似商号や事業目的については、会社の本店所在地を管轄する法務局で適否チェックをしてもらうことができます。登記が可能か不安な場合は、調査してもらったほうが安心です。チェックは窓口もしくは電話にて受け付けていますが、窓口の場合予約が必要な場合もあります。事前に確認の上出向く方がいいでしょう。

その他、建設業や介護事業、飲食店、宅建業など、許認可が必要な事業を行う場合は、必要事項の漏れがないか確認しておくことをおすすめします。

また、会社設立時の準備として会社の実印作成と、発起人及び役員に就任する人の印鑑証明書の取得も必要です。印鑑証明書は、発起人で且つ取締役にも就任する人の場合、2部必要です。ただし電子署名をする発起人は、定款認証する際の分は不要です。

定款作成

定款は、会社の目的や活動など、会社の概要や基本的なルールを記した書類で、いわば会社にとっての「憲法」のようなものです。定款には絶対記載しなければならい項目があり、ひとつでも漏れがあると認証されず、無効となるので注意が必要です。

【必ず記載しなければいけない項目】

  • 商号
  • 事業の目的
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名及び住所
  • 発行可能株式総数

定款認証を行う

定款作成後、株式会社の場合は定款認証が必要です。定款認証とは、公証役場で認証を受けることです。同一都道府県内の公証役場ならどこでも認証を受けられますが、代行業者に依頼することも可能です。

公証役場で認証を受ける際は、定款のほか下記の持ち物が必要です。

  • 定款:3通
  • 収入印紙代:40,000万円
  • 認証手数料:50,000円
  • 謄本交付代:250円×枚数
  • 発起人全員の印鑑証明書(発起人が法人の場合はその登記簿謄本と印鑑証明書):各1通
  • 公証役場に出向く人の実印
  • 委任状(発起人全員が公証役場に出頭する場合原則不要)

資本金の払込

定款が認証後、資本金を払込します。払込する金額は、定款記載の出資額と同額、名義は出資者自身で、自分名義の口座に振り込みます。

資本金については、会社法改正により1円からでも法人が設立できるようになりました。しかし、資本金1円で設立すると、銀行口座が開設できない可能性もあります。また、資本金は多ければ多いほど、設立当初の資金繰りを楽にすることもできます。できれば100万円以上用意するほうがいいでしょう。

資本金については、お金以外に「物」による現物出資も可能です。

払込証明書の作成

払込が完了したあとは、通帳の表紙と1ページ目、払込が確認できるページのコピーを取り、払込証明書を作成します。払込証明書は、発起人代表者個人の口座に、出資者が資本金の払込をし、代表者がその払込があったことを証明する書類です。

作成した払込証明書と、通帳のコピーしたものとは、合わせてつづります。書類の継ぎ目には、会社の代表印を押しておきます。

その他、現物出資をした場合は、「調査報告書」や「資本金の額の計上に関する証明書」の作成も必要です。

登記書類の作成

資本金の払込後は登記に必要な「設立登記申請書」を作成します。設立登記申請書には、下記項目について必ず登記しなければならないと定められています。登記すべき事項については、紙で準備する以外にCD-Rなどの磁気ディスクに記録して提出することもできます。

  • 商号
  • 本店及び支店の所在地
  • 目的
  • 資本金の額
  • 発行可能株式総数
  • 発行済株式の総数並びにその種類及び数
  • 取締役の氏名
  • 代表取締役の氏名及び住所
  • 公告方法についての定め
書類の作成方法については、法省民事局の公式サイトに基本様式が掲載されているので参考にするといいでしょう。また、司法書士、弁護士など代理人による申請もできます。

印鑑届出書、役員就任承諾書等の準備

登記申請書とともに、下記の書類も準備しましょう。
  • 印鑑届出書
  • 役員の就任承諾書
  • 設立時代表取締役選定決議書
印鑑届出書は、あらかじめ作成した会社の代表印を登録するための書類です。登記申請と同じ管轄登記所に提出します。印鑑届出書の用紙は法務局に置かれているほか、法務省のサイトからダウンロードすることも可能です。

また、役員就任承諾書は、設立した会社で代表取締役・取締役・監査役に就任予定となる人が、就任を承諾したことを確認したという証明書です。書類には就任する人に、住所、署名、捺印をもらい提出しましょう。

設立時代表取締役選定決議書は、会社設立時の代表取締役を取締役会で選定したことを示す書類です。ただし設立時代表取締役は、1名に限られているわけではないため、設立時点では、取締役全員を代表取締役としてもかまいません。

法務局に登記申請

登記申請は会社の代表者が、会社の本店の所在地を管轄する登記所(法務局)に申請します。資本金払込後、2週間以内と定められているので、期限を過ぎないよう注意しましょう。「登記申請をした日」が会社の成立日になります。

登記後、税務署など各種行政への手続き

登記が完了したら、税務署、都道府県税事務所、市区町村役場、年金事務所(旧社会保険事務所)で各種手続きを行います。従業員を雇う場合などは、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)にも必要な届け出をしましょう。

それぞれ、「登記事項証明書(登記簿謄本)」と「法人印鑑証明書」の原本が必要ですので、あらかじめ取得しておきましょう。

その他、役員報酬の設定や源泉徴収などの税務関係については、税理士に相談するのも一つの手です。
項目 届け出・提出先 提出期限
法人設立届出書 税務署 会社設立から2か月以内
給与支払事務所等の開設届出書 税務署 会社設立から1か月以内
青色申告の承認申請書 税務署 会社設立から3か月以内、もしくは最初の事業年度終了日のうちいずれか早い日の前日まで
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 税務署 適用を受けようとする前月末日まで
減価償却資産の償却方法の届出書 税務署 設立1期目の確定申告の提出期限まで
棚卸資産の評価方法の届出書 税務署 設立1期目の確定申告の提出期限まで
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書 税務署 有価証券を取得した期の確定申告の提出期限まで
消費税関係の届出書 税務署 それぞれの手続きに準じる
法人設立届出書 都道府県税事務所 東京23区は会社設立から15日以内
市区町村役場 それ以外は原則会社設立から1か月以内
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 年金事務所(旧社会保険事務所) 会社設立から5日以内
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 年金事務所(旧社会保険事務所) 加入要件を満たした日から5日以内
健康保険 被扶養者(異動)届 年金事務所(旧社会保険事務所) 事実の発生した日から5日以内
労働保険 保険関係成立届 労働基準監督署 労働者の雇用日から10日以内
労働保険 概算保険料申告書 労働基準監督署 労働者の雇用日から50日以内
雇用保険 適用事業所設置届 公共職業安定所(ハローワーク) 加入要件を満たした日の翌日から10日以内
雇用保険 被保険者資格取得届 公共職業安定所(ハローワーク) 加入要件を満たした日の翌月10日まで

金融機関に口座開設

各手続きとともに、銀行や金融機関に会社の口座を開設します。口座開設に必要な書類は下記の通りです。ただし、銀行や金融機関によって必要書類は異なります。他にも資料が必要になる場合もあるので、事前に確認するか随時対応するようにしましょう。

  • 口座開設依頼書(各銀行に用意されているもの)
  • 会社の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
  • 認証済みの会社の定款
  • 会社の印鑑(銀行印として登録したもの)
  • 法務局に届け出た代表印
  • 法務局から交付された代表取締役の印鑑証明書
  • 運転免許証・パスポードなどの代表者の身分証明書
  • その他、会社案内など会社の運営実態がわかる資料
一般的に、上記書類を銀行の窓口に提出後、2週間程度で会社の銀行口座ができあがります。

株式会社設立の費用について

株式会社設立にかかる一般的な費用は下記の通りです。

【法定費用】

  • 定款に貼る収入印紙:40,000円(電子定款の場合は不要)
  • 定款の認証手数料:50,000円
  • 定款の謄本手数料:2,000円
  • 登録免許税(法務局にて支払うもの):150,000円
  • 合計:242,000円(電子定款の場合は202,000円)

【会社設立にかかるその他の費用】

  • 会社実印作成代:5,000円程度(材質や本数によって変動)
  • 印鑑証明取得費(一通):300円程度
  • 登記簿謄本発行費用:600円程度

【行政書士や司法書士、税理士に依頼した場合の手数料】

  • 100,000万円程度(依頼先によって変動)
法定費用とその他費用を合わせると、会社設立にかかる費用は約35万円となります。ただし、電子定款にした場合は印紙代が節約できますし、自力で手続きを進めた場合などは、25万円程度で会社設立が可能です。

とはいえ、自力ですべて行うとなると、時間と労力もかかります。頼れるところは頼る、費用を抑えられる部分は抑えるなどしてバランスを考えながら、手続きを進めましょう。

まとめ

株式会社設立には、個人事業主よりも社会的信頼度が増すことや、銀行の融資審査も通りやすくなるなどのメリットがあります。しかし株式会社設立には資本金をはじめ、開業費用にまとまった費用が必要です。少しでも設立費用を抑えるのであれば、公告方法を電子公告にする、電子定款で設立するなどの工夫が必要になるでしょう。

また、株式会社では定款に事業の目的を定める必要があります。後々変更するには手間がかかるため、自分の思いや目的とは違った会社にならないよう、じっくり検討しながら手続きを進めていきましょう。

合同会社設立の方法について

合同会社は法人の事業形態のひとつで、小規模の会社設立をする場合にメリットが多いといわれています。今回はこの記事で、合同会社の特徴や株式会社との違いを解説するとともに、設立方法についてご紹介します。

合同会社とは

合同会社(LLC)とは、法人の中でも持分会社といわれる事業形態のひとつです。持分会社とは、出資者全員が会社の運営に参加することを原則とする会社のことです。

合同会社のメリットは、設立費用が比較的安価なのに加え、株式会社と同じように法人格を有することです。社債発行や創業融資の審査、節税面などでも、株式会社に比べて不利になることはほとんどないでしょう。

注意したいのは、合同会社の場合、出資者(社員)全員が運営に参加するため、新たな出資者を加えるなど、新しいことをするときは出資者全員の同意が必要になることです。もし、事業について社員間で意見が対立することがあれば、苦労する可能性があるでしょう。

合同会社にするかどうか決めるポイント

合同会社と株式会社とはどちらも法人格を有し、同じ税制なので節税方法もほとんど変わりません。

ですが、合同会社は経営の自由度が高く融通が利くため、家族経営など小規模事業の場合や、スタートアップの事業には適した会社の形といわれています。仮に意見が対立しても、理性的に話し合える人とパートナーを組めば、円滑な経営は可能でしょう。

また、合同会社は株式会社に比べ、国内における認知度は低めです。ですが、BtoCでビジネスをするのであれば、合同会社でも株式会社でも、一般消費者にとっては大した差を感じないこともあるでしょう。

迷ったときは、誰と組むか、どのようなビジネスモデルを考えているかによって会社の形を決めるのも方法のひとつと考えられます。

一般的な合同会社設立の流れ

合同会社の設立方法は、一般的に次のような流れで進んでいきます。

  1. 会社設立準備・基本事項の決定
  2. 定款作成
  3. 資本金の払込
  4. 登記書類の作成
  5. 法務局に登記申請
  6. 登記後、税務署など各種行政などへの開業の届け出手続き
  7. 金融機関に口座開設

会社設立準備・基本事項の決定

合同会社の設立にあたっては、会社の基本的な設立項目を決める必要があります。難しいと思われるかもしれませんが、会社の名前や場所などを決めることと考えればスムーズに進むかもしれません。

【一般的な基本事項】

項目 概要とポイント
商号 「合同会社」を含めた会社名を決める(会社の一部門を表す文言や有名企業の会社名、、「銀行」「信託」の文言、公序良俗に反する文言は使用不可)
事業目的 どのような事業を行うかを決める明確にし、適法に収益を得るビジネスについて決める
本店住所 会社の本社を置く住所を決める
公告の方法 官報、新聞、電子公告などの手段を決める(それぞれの手段に応じて必要な費用が異なる)
決算月 自由に決められるが、活用できる節税や特例、また設立予定日などを考慮して決める
資本金 1円から設立できるが、融資や取引先との関係、利益配分等を考慮して決める
社員 経営に参加する出資者のことで、代表権を持つ人や業務執行権を持つ人を決める
その他、会社印鑑の作成も準備しておきたいことのひとつです。会社印鑑は設立書類に押す印鑑、設立後の業務に使う印鑑など、4種類程度をそろえるのが一般的です。印鑑が作成できれば、印鑑証明書を取得しましょう。法務局で登記する際に必要になるためです。

定款作成

基本事項が決まり、印鑑の準備ができれば、定款を作成します。定款とは事業の目的や商号、所在地などを記した書類のことです。

合同会社は株式会社と違い、公証役場での「定款認証」というステップが必要なく、比較的簡単に作れるのが特徴です。一方、公的機関のチェックが入らないことにより、書類の不備や修正がないよう、作成する際は注意が必要です。

また、合同会社の定款は、1名で設立する場合や2名、3名以上での設立などのパターンにより、必要な添付書類が異なるので、確認してから準備しましょう。

ただし、下記の項目については絶対に記載が必要です。

【記載が必要な項目】

  • 合同会社の事業目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 社員の氏名・住所(1人会社の場合は本名、住所は番地・建物名まで)
  • 社員全員が有限責任である旨
  • 各出資者の出資金額、または評価基準
その他、代表社員の決定方法や出資金の払い戻し方法、入退社時の取り決めや損益の分配比率の決め方、合同会社を解散する場合、社内での議決方法なども決めておくといいでしょう。社員管でのトラブルを避けるのに効果的です。

定款については、インターネットではひな形をダウンロードできる場合もあるため、活用するのも方法のひとつです。

資本金の払込

合同会社の資本金が決まり、社員それぞれの出資金が決まれば、銀行に預け入れを行います。設立登記の際、資本金がきちんと払い込まれていることを証明するために必要だからです。

資本金払込時の注意点は、出資者全員が各々振り込みで入金処理を行うことです。それぞれの個人名が明記されるようにするためです。まとめて振り込むと、誰がどの程度出資したか判別できなくなるので気を付けましょう。

払い込みが終われば、通帳の表紙、裏面(銀行面、口座番号、名義人の記載されている部分)、各々の出資額が分かるページの3か所を証明書としてコピーしておきましょう。

登記書類の作成

定款作成後は、登記書類の作成も必要です。合同会社の場合、以下の書類が必要です。

  • 設立登記申請書
  • 定款
  • 本店所在地及び資本金決定書(社員が1名の場合は資本金決定書のみ)
  • 代表社員の就任承諾書(社員が1名の場合は不要)
  • 代表の印鑑証明書
  • 資本金の払込証明書
  • 印鑑届出書
  • 登記すべき事項を記した用紙もしくは登記事項を記載した電磁的ファイルを収納したメディア
  • 書類をまとめ、印紙を貼る台紙
その他、法人が社員として入る合同会社の場合は、「登記事項証明書」や「職務執行者の就任承諾書」も必要です。また、設立の際に現物出資がある場合も別途書類が必要です。

法務局に登記申請

必要な書類の準備ができたら、法務局に登記申請を行いますが、不安な場合は提出前に法務局に相談するといいでしょう。提出前に書類チェックをしてもらえるからです。

登記申請の流れは、印紙を購入し、提出で完了となります。法務局へ提出した日が合同会社の設立日になります。登記申請は郵送でもできますが、できるだけ確実に、また手違いが起こらないようにするなら、直接法務局へ持参するのがおすすめです。明らかな不備があればその場で指摘され、すぐに修正できるからです。

窓口で書類が受理されたら、登記完了予定日が書かれた紙を渡されます。完了日に法務局を訪問すれば、法人印鑑登録カードと謄本を受け取ることができます。

登記後、税務署など各種行政への手続き

登記完了後は、税務署などへ諸手続きを行いましょう。提出期限があるものは特に注意し、期限を過ぎないよう早めに手続きを済ませましょう。一般的に、合同会社設立後は下記の手続きが必要です。

【税務署への届出】

  • 法人設立届出書
  • 青色申告承認申請書
  • 給与支払い事務所等の開設届出書
  • 源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
  • 棚卸資産の評価方法の届出書(任意)
  • 減価償却資産の償却方法の届出書(任意)

【都道府県税事務所、市区町村への届出】

  • 法人設立届出書

【日本年金機構への届出】

  • 新規適用届
  • 被保険者資格取得書
  • 被扶養者届

【日本年金機構への届出】

  • 雇用保険、労働保険の手続き(設立と同時に従業員を雇う場合)
  • 事業の許認可手続き

金融機関に口座開設

手続きが済んだら、最後に銀行や金融機関に会社の口座を開設しましょう。口座開設に必要な書類は下記の通りです。

  • 口座開設依頼書(各銀行に用意されているもの)
  • 会社の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
  • 認証済みの会社の定款
  • 会社の印鑑(銀行印として登録したもの)
  • 法務局に届け出た代表印
  • 法務局から交付された代表取締役の印鑑証明書
  • 運転免許証・パスポードなどの代表者の身分証明書
  • その他(会社案内など会社の運営実態がわかる資料)
ただし、銀行や金融機関によって必要書類は異なります。上記以外の資料が必要になることもあるので、確認しながら準備を進めましょう。

書類提出後、通常2週間程度で会社の口座作成が完了します。

合同会社設立の費用について

合同会社の設立には一般的に下記の費用が必要で、最低でも10万円程度かかるといわれています。あらかじめ用意しておきましょう。

【合同会社設立に必要な費用】

  • 定款に貼る収入印紙代:4万円程度(電子定款の場合は不要)
  • 定款の謄本手数料:2,000円程度
  • 登記手続きの際の登録免許税:6万円~(厳密には資本金の額×0.7%)

【その他設立にかかる必要な費用】

  • 合同会社実印作成代:5,000円程度
  • 印鑑証明取得費:300円程度
  • 登記簿謄本発行費用:500円程度
  • 行政書士や司法書士、税理士に依頼した場合の手数料:10万円程度(依頼先によって変動)
電子定款とは紙ではなくPDF型の定款にすることですが、作成には専用の電子機器やソフトウェアをそろえる必要があります。必要な機器を持っている場合は、電子定款をするほうが金銭的にお得に作成できるでしょう。

また、設立準備を行政書士や司法書士、税理士等に依頼した場合は、会社設立費用が21万円ほどかかります。一方、誰にも依頼せず、自力で設立すれば最低7万円ほどで会社設立が可能です。事業運営にはお金がかかるので、時間があれば自分でするのも一つの手です。

合同会社の設立日数

合同会社の設立日数は、定款などの準備作業が最短1~3日、法務局で処理される時間や法的に設立を認められるまではさらに1週間程度といわれています。最短2週間程度あれば、設立は可能でしょう。

ただし、自力で作成する場合や、行政書士等に依頼する場合、あるいは登記申請のタイミングなどによって変動します。トラブルが起こった場合などは、設立までさらに日にちがかかることもあるでしょう。

まとめ

合同会社の設立方法は、基本事項を決め定款を作成し、資本金の払い込み、登記申請というのが一般的な流れです。費用は平均10万円程度ですが、電子定款にしたり、自力で書類を作成したりすれば、費用を抑えることもできるでしょう。一方、行政書士や税理士等に依頼すると、費用はさらに必要となります。

合同会社は株式会社と同じく法人格を有し、節税対策も取りやすく経営の融通もききやすいのがメリットです。一般的な認知度が低めというデメリットはありますが、小規模事業やスタートアップ事業などの場合は、合同会社設立を検討してみてはいかがでしょうか。

一般社団法人設立の方法について

一般社団法人設立の方法を流れに沿って簡潔に解説

一般社団法人は、協会や同窓会、学会を設立したいと考えている場合に適した会社の形です。一般社団法人と聞くと、無償活動するボランティア集団のようなイメージがあるかもしれませんが、他の法人と同じく利益を出すことは可能です。この記事では、一般社団法人の概要と設立の方法、設立にかかる費用などについて解説します。

一般社団法人とは

一般社団法人とは、非営利活動を行う法人のことをいいます。非営利とは、文字通り「営利活動をしない」ことです。

ただ、非営利といっても、無償でボランティア活動をするわけではありません。一般的には利益を出さず、お金儲けをしないイメージがあるかもしれませんが、活動を通じて利益を出したり、収益事業を行ったりしても問題ありません。もちろん、理事や構成員に給料を支払うのも可能です。

そもそも「営利」は、「余剰金の分配」という意味があります。つまり非営利とは、法律上「構成員(社団法人の社員)に余剰金が出た場合でも分配しない」ということを指します。禁止されているのはあくまで余剰金の分配だからです。利益や余剰金が出た分については、今後の活動資金について使う決まりになっています。

ちなみに、株式会社の場合は営利を目的に活動を行う法人です。したがって、株式会社は利益が出ると株主に配当金という形で分配されます。分配されずに運転資金に回したり、設備投資したりすることもありますが、基本的に株主会社は、「株主に利益の分配が可能な法人」と考えるといいでしょう。

その他、NPO法人は公益を主たる目的にした非営利法人で、利益を追求せず、公的な価値のある活動のみを行う団体です。一般社団法人は、NPO法人に比べ、自由に活動できるのも特徴です。

また、一般社団法人に似た法人として「一般財団法人」があります。一般財団法人は「物(財産)を運用するために設立された団体」のことです。一般社団法人が「共通の目的のため集まって活動する団体」であるのに対し、一般財団法人は「財産を寄付し、運用することを目的にした団体」です。よく似た名称ですが、活動内容が異なるので注意しましょう。

一般社団法人設立の要件

一般社団法人の設立要件は、2名以上の社員が必要であることです。株式会社や合同会社などのように、1人では設立できないので注意しましょう。

収益事業については課税対象

一般社団法人は、一部の事業に限っては、税制上の優遇を受けられます。ですが、要件を満たさない、その他の事業については、収益事業(販売や製造、飲食など継続して収益を上げる事業)として扱われ、課税対象となります。つまり、株式会社や合同会社などと同じく、事業活動で得た所得には税金が発生することになります。

非営利法人である一般社団法人が、事業で収益を上げること自体は問題ありません。しかし、一般社団法人だからといって必ずしも税金が安くなるわけではないので留意しましょう。

一般的に、収益事業を行う一般社団法人の普通型法人といいます。一方、一定の要件に該当する場合は、一般社団法人の非営利型法人とされ、収益事業から生じた所得のみが課税対象、その他の所得は非課税扱いになります。

一般社団法人に適した団体

一般社団法人は、基本的に社会や地域、団体の発展への貢献を目的に設立される傾向があります。一般的に下記のような団体の場合は、一般社団法人を設立するのに適しているといわれています。

  • 同窓会
  • サークル団体
  • スポーツ団体
  • 地域振興団体
  • 医療・福祉系の団体
  • 教育・芸術団体
  • 資格に関する団体

一般社団法人設立の流れ

一般社団法人を設立する場合の流れは、主に下記の通りです。

  1. 会社設立準備・基本事項の決定
  2. 定款作成
  3. 登記書類の作成
  4. 法務局に登記申請
  5. 登記後、税務署など各種行政などへの手続き
  6. 金融機関に口座開設

会社設立準備・基本事項の決定

一般社団法人の設立には、2人以上の社員が必要です。社員とは「従業員」ではなく、一般社団法人を造り上げる構成員です。株式会社でいう、株主のようなイメージと考えるといいでしょう。ただし、一般社団法人は利益の分配を行わないという点は異なります。

社員数は、2名以上であれば、何人でもかまいません。また、法人も社員になることが可能です。設立後、社員は一般社団法人の意思決定機関である、「社員総会」での議決権を持ち、法人運営に関与することができます。設立時に集まった社員のことは、「設立時社員」として氏名、住所を定款に記載する必要もあります。

また、定款を作成するために、下記のような基本事項を決めておく必要もあります。
項目 内容
名称 「一般社団法人」を含む名称を決める(類似名称は不可)
主たる事務所の所在地 活動の本拠地となる住所を決める
目的 一般社団法人としての目的を定め、目的達成のための事業内容を決める(違法な事業、漠然とした事業は目的にできない)
公告の方法 官報、新聞、電子公告、一般社団法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法の中から、いずれかを選択する
事業年度 基本的に自由だが1年を超えて設定できないので注意(原則申告は決算日から2か月以内であることや、設立日とのタイミングを考慮する)
社員の資格の得喪 社員の資格を得る方法、資格を失う方法について、条件や手続き内容を決める
名称については、類似名称がないか、登記可能かなどを法務局で確認できます。候補がまとまった時点で、事前に確認することをおすすめします。

その他、許認可が必要な事業を行う場合についても、それぞれ管轄の官公庁にて、目的の記載方法を確認しておきましょう。

また、一般社団法人設立の準備には、法人の代表印(実印)を作成しておく必要もあります。依頼先によって仕上がる日数が異なるので、早めに注文しておくほうがいいでしょう。法人の実印は「1辺の長さが1㎝を超え、3㎝以内の正方形の中に収まるもの」と決められています。代表印を作成する際は、銀行印や角印、ゴム印なども作成しておくと便利です。

さらに、設立時社員になる人は、個人の印鑑証明書の取得も必要です。印鑑証明書は住んでいる場所の市区町村役場で発行できます。印鑑登録を行っていない場合は、実印を持って市区町村役場に行けば、簡単に登録手続きができます。

印鑑証明書は定款認証で社員全員分必要になるので、あらかじめ準備しておきましょう。ただし、発行日から3か月以内のものと決められているので、早めに取得し、手続きが長引いた際には、期限切れにならないかどうかにも注意しましょう。

印鑑証明書は、社員となる人は1枚でOKですが、理事となる人は2枚必要です。定款認証時と、法務局設立申請時にも必要だからです。

定款作成

定款は一般社団法人内における運営ルールをまとめたもので、いわば「憲法」のような存在です。定款には必ず記載しなければならない項目や、任意の項目などがあります。

【絶対的記載事項】

絶対的記載事項は、定款に必ず記載しなければならない項目です。1つでも抜けると定款として認められませんので注意しましょう。

  • 名称
  • 主たる事務所の所在地
  • 目的
  • 公告の方法
  • 社員の資格の得喪に関する規定
  • 事業年度
  • 設立時社員の氏名及び住所(法人の場合は名称及び住所)

【相対的記載事項】

相対的記載事項は、法律で定められている一定の事項を、別に定めてもよく、その場合は内容を定款に書くことで効力を発揮する項目です。定款に定めを書かなかった場合は、法律に従うことになります。

  • 社員の議決権数
  • 社員の経費支払い義務
  • 社団における理事会、監事または会計監査人の設置
  • 理事および監事の任期の短縮
  • 理事会決議の省略

【任意的記載事項】

任意的記載事項は、法人内で自由にルールを決め、定款に書くことで効力を持たせる項目です。利益の分配など禁止されていることや法律に違反しない限り、自由に決められます。

  • 社員総会の議長
  • 社員総会の招集時期
  • 役員の員数
  • 理事の報酬
  • 監事の報酬

定款認証

定款は原案が完成したら、法的な効力を持たせるため、公証役場で認証を受けなければなりません。これを定款認証といいます。定款認証は、法人の主たる事務所の所在地のある都道府県内の公証役場で受けられます。公証役場には、原則として設立時社員全員が出向く必要があります。ただし、社員の中から代表者を1名決めることや、第三者への委任も可能です。 定款認証時には、以下の持ち物が必要です。

  • 定款:3通
  • 設立時社員となる全員の印鑑証明書(発行日から3か月以内のもの):人数分
  • 設立時社員となる人の実印
  • 認証手数料:50,000円
  • 謄本代:2,000円程度

理事の決定

一般社団法人では社員総会とともに、理事という役職の人を1名以上置かなければなりません。理事は株式会社でいうところの「取締役」のような存在です。小規模な一般社団法人の場合は、社員の中から理事を選任することが多いですが、社員以外の人を選任しても問題はありません。ただし、理事には法人や団体が就任することはできません。社員の場合とは違うので注意しましょう。また、社員に対しては利益の分配ができませんが、理事には報酬を出すことが可能です。

設立時の理事を決定したら、さらに設立時代表理事も選任します。設立時代表理事となった人が中心となり、手続きを進めていくことになりますが、理事が1名の場合はそのまま代表理事となります。理事に選ばれた人は、登記簿謄本に氏名が記載され、代表理事は氏名・住所が記載され、第三者も見ることができるようになります。

その他、理事会、監事、会計監査人などについては、必要に応じて設置します。ただし、理事会や会計監査人を置く場合は、監事も置かなければなりません。

ちなみに、定款で設立時理事、監事、会計監査人をすでに定めている場合は、この手続きは必要ありません。

登記書類の作成

定款認証が完了したあとは、法務局に登記申請をするための書類を作成します。登記申請には、定款以外に下記のような書類が必要です。書類が不足していると申請できませんし、内容に不備があれば修正が必要です。

書類は定款の内容や法人の構成によって、用意するべきものが異なるほか、各書類には個人の実印または法人の実印を押印する必要があります。

登記申請書類については、作成方法や押印の仕方など、提出前に法務局の窓口で相談することができます。電話でも受け付けている場合があるので、分からないことがあれば相談し、不備のないように仕上げましょう。

【登記申請に用意する書類】

  • 一般社団法人設立登記申請書
  • 定款
  • 主たる事務所所在場所の決定に関する決議書
  • 設立時理事の選任決議書
  • 設立時監事の選任決議書
  • 設立時代表理事選定書
  • 設立時理事及び設立時監事の就任承諾書
  • 設立時代表理事の就任承諾書
  • 印鑑届出書
  • 印鑑カード交付申請書
  • 別紙(登記すべき事項)

法務局に登記申請

定款が出来上がり、登記に必要な書類がそろったら、いよいよ法務局に登記の申請を行いましょう。

登記申請は主たる事務所の所在地を管轄する法務局で行うことができます。登記申請書類を提出する際は、登録免許税として60,000円の収入印紙が必要です。事前に購入しておくか、法務局内の売り場で購入しましょう。

申請書類を提出し、受理されれば登記が完了するのを待ちます。不備がなければ、1週間程度で設立登記が完了し、一般社団法人が誕生します。登記完了の日数については、繁忙期や連休を挟むと長くなることもあります。

また、設立日は登記の申請を行った日(書類を提出した日)となります。ただし、法務局は土日祝日、年末年始は休みで、開庁日はカレンダー通りです。記念日に合わせて設立したい場合は、登記の申請日に注意しましょう。

その他注意点として、法務局での登記審査は、完了してもわざわざ通知が来ることはありません。登記申請したときに、完了予定日を教えてもらえるので、目安にしましょう。

登記が完了したら、一般社団法人の登記簿謄本、印鑑カード、法人印鑑証明書が取得可能になります。税務署や銀行い提出が必要になるため、必要部数を取得しておきましょう。

登記後、税務署など各種行政への手続き

登記完了後、税務署や都道府県税事務所、市区町村役場、年金事務所(旧社会保険事務所)へ各種届け出を行います。従業員を雇うなど必要であれば、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)にも届出を行いましょう。
手続き 提出先 提出期限
法人設立届出書 税務署 法人設立から2か月以内
給与支払事務所等の開設届出書 税務署 会社設立から1か月以内
収益事業開始届出書 税務署 法人設立から2か月以内
給与支払事務所等の開設届出書 税務署 法人設立から1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 税務署 適用を受けようとする前月末日まで
減価償却資産の償却方法の届出書 税務署 設立1期目の確定申告の提出期限まで
棚卸資産の評価方法の届出書 税務署 設立1期目の確定申告の提出期限まで
有価証券の評価方法の出書(有価証券を取得した場合のみ) 税務署 有価証券を取得した期の確定申告の提出期限まで
青色申告の承認申請書 税務署 法人設立から3か月以内、もしくは最初の事業年度終了日のうちいずれか早い日の前日まで
法人設立届出書 都道府県税事務所 東京23区は会社設立から15日以内
市区町村役場 それ以外は原則会社設立から1か月以内
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 年金事務所(旧社会保険事務所) 会社設立から5日以内
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 年金事務所(旧社会保険事務所) 加入要件を満たした日から5日以内
健康保険 被扶養者(異動)届 年金事務所(旧社会保険事務所) 事実の発生した日から5日以内
保険料口座振替納付申出書 年金事務所(旧社会保険事務所) 事実の発生した日から5日以内
労働保険 保険関係成立届 労働基準監督署 労働者の雇用日から10日以内
労働保険 概算保険料申告書 労働基準監督署 労働者の雇用日から50日以内
就業規則届 労働基準監督署 作成後遅滞なく提出
適用事業報告書 労働基準監督署 作成後遅滞なく提出
雇用保険 適用事業所設置届 公共職業安定所(ハローワーク) 加入要件を満たした日の翌日から10日以内
雇用保険 被保険者資格取得届 公共職業安定所(ハローワーク) 加入要件を満たした日の翌月10日まで

金融機関に口座開設

各種手続きとともに、一般社団法人としての銀行や金融機関口座も開設しましょう。口座開設に必要になる、主な書類は下記の通りです。ただし、銀行や金融機関によって必要書類は異なるため、事前に確認しておくと安心です。

  • 口座開設依頼書(各銀行に用意されているもの)
  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
  • 認証済みの定款
  • 法人の印鑑(銀行印として登録したもの)
  • 法務局に届け出た代表印
  • 法務局から交付される印鑑証明書
  • 運転免許証・パスポードなどの代表者の身分証明書
  • その他、法人の活動内容が分かる資料
一般的に、上記書類を銀行の窓口に提出後、2週間程度で会社の銀行口座ができあがります。

一般社団法人設立の費用について

一般社団法人設立にかかる主な費用は、主に定款認証時に公証役場に支払う費用と、登記申請時に法務局へ支払う費用とがあります。それぞれの費用目安は下記の通りです。

【定款認証時に公証役場へ支払う費用】

  • 定款認証時の手数料:50,000円

【登記申請時に法務局へ支払う費用】

  • 登録免許税:60,000円

【法人設立にかかるその他の費用】

  • 法人印鑑作成代:5,000円程度(材質や本数によって変動)
  • 定款謄本代:謄本(紙定款のコピー)2通で2,000円程度
  • 登記簿謄本発行費用:600円程度(1通あたり)
  • 法人印鑑証明書代:300円程度(1通あたり)

【行政書士や司法書士、税理士に依頼した場合の手数料】

  • 100,000万円程度(依頼先によって変動)
一般社団法人設立を自力で行う場合は、13万円程度用意しておけば設立できる可能性が高いと考えられます。一方、専門家(行政書士や司法書士など)に依頼する場合は、別途費用が発生するでしょう。

ちなみに、一般社団法人の場合、理事は2年、監事は4年と任期の設定があり、一定期間ごとに登記手続きが必要です。同じ人が続投する場合も、変更登記手続きは必要なので、そのたびに書類の準備と費用がかかることを、留意しておきましょう。

一般社団法人設立にかかる時間

一般社団法人設立にかかる時間は、自力で行うのであれば1か月程度は見ておくほうが無難です。ただ、ある程度基本事項が決まっていて、定款を作成できる状態にある場合や、公証役場や法務局にいつでも行ける状態の場合などは、もう少し短縮できる可能性があるでしょう。

まとめ

一般社団法人は、非営利で利益の分配はできないものの、収益事業は行えるのが特徴の法人です。設立までの一般的な流れは、株式会社や合同会社と同じような手順ですが、社員が2名以上いないと設立できないので注意が必要です。また、登記完了後も、理事や監事の任期満了に合わせ、変更登記手続きや費用が発生するところも留意しておきたいポイントでしょう。

とはいえ、一般社団法人はれっきとした法人のひとつであり、設立によって社会的信用度を高めることができます。設立することで今まで行っていた事業を拡大することもできるでしょう。事業内容によっては税制面での優遇を受けられることもあるので、ほかの法人形態とも比較しながら、設立を検討されてみてはいかがでしょうか。

個人事業主の成り方について

個人事業主になるにはどうしたらいいか?手順を踏まえて魅力ある事業を開始しよう

事業を始めたいと思っても「どうしたらいいか、何から始めたらいいかよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。今回はこの記事で、個人事業主として開業するにあたっての一般的な手順や、知っておきたい知識、注意点などをご紹介します。

個人事業主になる場合の一般的な流れ

まずは個人事業主として開業し、事業を運営する場合の大まかな手順を把握しましょう。

  1. ビジネスモデルを決める
  2. 資金の確保
  3. 必要書類を揃えて税務署・都道府県税事務所・市区町村にそれぞれ提出
  4. 事業運営
  5. 確定申告

ビジネスモデルを決める

実際に事業を始める前に、ビジネスモデルを明確にしておきましょう。どんな事業を行うか、どうやって儲けるかなどを熟考し、マーケティングも行うことも大切です。

  • 提供するサービスの種類
  • BtoB、BtoC
  • ターゲットなる顧客層
  • 事業展開する場所
  • 事業の目的
  • 人材確保の手段

個人事業主開業時に提出する書類

個人事業主になるには、開業時にいくつかの書類提出が必要です。それぞれ、提出期限が決まっているものもあるので注意しましょう。

特に提出を忘れないようにしたいのが、開業届と青色申告承認申請書、個人事業開始申告書です。

ただし、「個人事業開始申告書」は自治体によって手続き方法が異なる場合もあります。不明な点があれば、自治体へ確認するなどして、手続きを進めましょう。

また、各届出書は一度提出すると手元に残らないので、、提出前に必ず控えを取っておきましょう。後々ビジネス用の口座開設や小規模企業共済に加入する場合など、提出を求められた際、困らないようにするためです。

その他、提出した際に受領印も忘れずにもらいましょう。郵送する場合は、切手と自分の宛名を記入した返信用封筒と、控えの返送を希望する旨を書いた紙を同封すれば返送してもらえるはずです。

【必要書類一覧】

書類名 提出先 提出期限 備考
個人事業の開業届出・廃業届出等手続(開業届) 税務署に持参または郵送 提出することで青色申告が可能になり、屋号を付けられる。屋号入りビジネス口座の開設時や職業証明時にも活用可能。ただし未提出でもペナルティはなし(提出は法律で義務付けられていないため)
青色申告承認申請書 税務署に持参または郵送 開業日が1/16以降は改行の日から2ヵ月以内もしくは開業日が1/1~1/15の場合は3/15まで 承認されると青色申告特別控除や純損失の繰り越し控除などが受けられる
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書 税務署に持参または郵送 開業日が1/16以降は改行の日から2ヵ月以内もしくは開業日が1/1~1/15の場合は3/15まで 専従者を雇う場合
所得税の棚卸資産の評価方法の届出書 税務署に持参または郵送 開業年度の確定申告提出期限 棚卸資産(在庫)を抱えて商売する場合
所得税の減価償却資産の償却方法の届出書 税務署に持参または郵送 開業年度の確定申告提出期限 定額法の場合届出不要
源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書 税務署に持参または郵送 従業員を雇う場合、通常毎月支払う源泉所得税を1月と7月の年2回にまとめて納付するための申請書
給与支払事務所等の開設届出書 税務署に持参または郵送 従業員を雇用することになってから1カ月以内 従業員を雇用する場合に、給料を支払うにあたっての届出書
個人事業開始申告書 都道府県税事務所および市区町村 開業から1ヵ月以内 自治体によって提出期限や提出先は異なるため、要確認

ビジネス専用口座の開設もしておこう

税務署や各自治体への届け出をする以外の準備として、できればビジネス用の口座を作っておきましょう。個人事業主の場合、事業と個人とのお金が同一で、両方の収支が混同しやすいです。

ビジネス用として専用の口座を用意しておくことで、経営状態をクリアにし、対外的にも信用度をアップさせることにつながるでしょう。万が一、税務調査が入った際も、通帳を分けていることは審査にプラスに働くことが多いです。

ホームページ開設や情報ツール活用もおすすめ

個人事業を始めるにあたり、事業のホームページやSNSの開設もおすすめしたいポイントのひとつです。今やスマホやパソコンから誰でも情報を検索・閲覧できる時代です。ホームページやSNSを開設し、更新を続けることで、コストを抑えながら、効率的に自分の事業の宣伝をすることができるでしょう。

開業するにあたって、設立費用はかからない

個人事業主の場合、開業するにあたって資本金は不要、定款認証や登録免許税などもかかりません。法人のように、会社設立にあたって資本金や、登記費用など、ある程度の設立資金を用意しなくても届け出をするだけで事業を開始することができます。また、もし事業をやめたいと思った場合も、廃業届を出すだけで辞めることができます。

継続可能な事業運営について考える

個人事業主になるにあたって考えておきたいのは、どうすれば事業を継続して運営できるかということです。

個人事業は資本金が不要で、開業費用もあまりかからないことから、開業のハードルが比較的低く、誰でも事業主になりやすいというメリットがあります。

しかし一方で、個人事業主の生存率は、1年以内であれば62.3%ですが、3年後には37.6%程度にまで絞られるといわれています。つまり、3年以内に6割以上の事業主が廃業に追い込まれていることになります。

個人による運営といえども、あくまで事業は事業です。個人事業を始めたからといって、すぐに結果が出るとは限りませんし、継続するには、それなりの努力が必要になるといえるでしょう。

独立してすぐに廃業に追い込まれないようにするためにも、最低でも10年以上事業が継続できるよう、世の中のニーズを把握し、事業計画を立てる必要があります。

特に、個人事業主の場合、財産も債務も、事業用と個人とが同一とみなされ、無限責任とされています。もし借入金などの債務がある場合は、たとえ倒産しても弁済義務が残るため、資金の運用には十分注意する必要があるでしょう。

毎年の確定申告が必要

個人事業主は、毎年2/16~3/15の間に確定申告をする必要があります。確定申告とは、事業を営んでいる人が、1/1~12/31までの年間の所得を計算し、所得税などの税額を税務署に申告することです。簡単に言うと、「1年間でこれだけの儲けが出たので、今年はこれだけの税金を納めます」という申告です。

個人事業主が納める税金はおもに6種類あり、そのうち確定申告で申告するのは、所得税、消費税、復興特別所得税です。住民税や国民健康保険税、事業栄は所得税を申告すると各都道府県や市区町村から納付額の通知が送られてくることになっています

確定申告は、会社員であれば、会社が給与から天引きして税金を納めたり、年末調整をしたりしてくれるので、基本的にする必要がありません。ですが、個人事業主になると、自分で売上や経費などを記録し、計算した上で所得税をはじめとする税金の申告・納付をしなければなりません。

ただ、所得税は経費や控除を使って所得を少なくできれば、節税効果も生まれます。個人事業主ならではの節税方法もチェックしながら、申告の準備をするといいでしょう。
名目 備考
確定申告時に納税 所得税 収入から経費を差し引いた所得に対してかかる国税
消費税 2年前の売上、または1年前の1~6月の売上が1,000万円を超える場合に支払義務が発生する
復興特別所得税 東日本大震災からの復興施策に使われる税金(2037年まで)
確定申告後に通知 個人事業税 事業の種類によって、事務所や店舗を構える都道府県に納める地方税、所得に応じて課税される
住民税 住所がある都道府県・市区町村から、確定申告した所得に対して課税され、通知が来る
国民健康保険税 所得に応じて課税される(自治体によっては保険料の形式をとっていることもある)

まとめ

個人事業主には、開業にあたって資本金などの準備をせずとも、書類を提出すれば事業を始めることができます。ただし、開業届や青色申告承認申請書、個人事業開始申告書などのように、提出期限が決まっているものもあるので、忘れずに書類を出すようにしましょう。

開業のハードルが比較的低いことから、個人事業主は誰でもなりやすいといわれています。ですが一方で、会社員の場合と違い、毎年確定申告が必要ですし、事業の継続にはそれなりの努力も必要です。開業前にビジネスモデルをしっかりと構築し、開業してからも長期的な事業計画を立てることが大切です。慌てて事業を立ち上げて後悔しないよう、じっくりと準備をした上で、個人事業主として自分の夢を実現しましょう。

創業時に役に立つ融資一覧

創業時に役に立つ融資一覧

創業時は、事業に必要な設備の調達や、事業を軌道にのせるまでのまとまった額の運転資金の調達が不可欠です。 創業時の資金調達には、個人や法人の創業支援をコンセプトとする融資を活用することができます。 今回は、個人や法人の創業時に役立つ融資として、

・日本政策金融公庫の融資
・自治体の融資

をご紹介します。

日本政策金融公庫の「新規開業資金」

日本政策金融公庫では、小規模事業の創業者のために「新規開業資金」という融資を行っています。

【新規開業資金の概要】

融資対象者 ・これから事業を始める方
・開業後おおむね7年以内の方
のうち、下記のいずれかの要件に該当する事業主の方
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
国民生活事業のみの融資となります。
返済期間 設備資金 20年以内
運転資金 7年以内

新規開業資金の対象者となるための要件

新規開業資金を受けるには、下記の要件のいずれかに該当する事業者となります。

・現在、同業種の企業への勤務している方
・学生時代に習得した技能に関連する事業を行う方
・技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
・雇用の創出を伴う事業を始める方
・産業競争力強化法の認定を受けて事業を始める方
・地域創業促進支援事業等による支援を受けて事業を始める方
・地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方
・民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方

これらの要件には、これから事業を始める方のほか、開業後おおむね7年以内の方も含まれます。
ただしいずれの要件にも該当しなかった事業者の方でも、適正な事業計画を策定し、その計画を遂行する能力が十分あると認められる事業であれば、1,000万円を限度に融資を実行される場合があります。

日本政策金融公庫HP「新規開業資金をご利用いただける方」参照
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/goriyo_shinki.html

日本政策金融公庫のその他の創業に役立つ融資

日本政策金融公庫では、新規開業資金のほかにも、創業時に役立つ融資があります。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性や若年者、高年齢層の方の創業をサポートする融資です。
対象者 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
融資限度額 (国民生活事業)
7,200万円(うち運転資金4,800万円)
(中小企業事業)
直接貸付 7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)
代理貸付 1億2千万円
返済期間 設備資金 20年以内
運転資金 7年以内

新創業融資制度

新たに事業を始める方や、事業開始後で税務申告を2期終えていない方の場合、各融資を受ける際に、「新創業融資制度」を適用することができます。
「新創業融資制度」では、融資上限額は高くありませんが、無利息・無担保で利用できる点で、円滑な融資が期待できます。
対象者 以下の要件をすべて満たす必要があります。
・新たに事業を始める方
・事業開始後税務申告を2期終えていない方
・雇用創出等のための一定の要件(※1)を満たす方
・一定の自己資金が確認できる方(※2)
対象者 (国民生活事業のみ)
3,000万円(うち運転資金1,500万円)
(※1)雇用創出のほか、同業種の企業への勤務している方、産業競争力強化法の認定を受けて事業を始める方などいずれかの要件に該当する必要があります。
(※2)必要ない場合もあります。

自治体の創業融資

自治体にも、創業時の融資があります。
東京都の場合は、東京都中小企業制度融資の一つに、地域の関係機関と連携して行われる「創業融資」があります。


【東京都中小企業制度融資の創業融資】

対象者 ・都内に事業所があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者
・これから創業する個人で、一定期間内に創業する具体的計画がある
・創業した日から5年未満の中小企業者等
・分社化しようとする会社
・分社化による設立日から5年未満の会社
融資限度額 3,500万円
(これから創業する個人は、自己資金に2,000万円を加えた額)
返済期間 設備資金 10年以内
運転資金 7年以内
東京都産業労働局HP「制度融資一覧」参照
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/kinyu/yuushi/yuushi/list/

創業時の融資は専門家にご相談を

どの融資を受ける場合であっても共通するのは、融資を実行する側から「この事業に融資をしても大丈夫」と判断してもらえなければならないことです。
いくら創業融資の対象に合致しても、回収が見込めない融資を実行してくれることはありません。
そのため創業時に融資を受ける場合は、開業準備と同時に、融資の審査を通過できる水準の事業計画書などの書類準備に追われることとなります。
特に初めて事業を始める方は、これまでの業績や返済にかかる実績がないため、事業計画書はかなり綿密に作り込む必要があります。
創業融資を受ける際は、書類作成を含めて専門家にご相談ください。

創業時に役に立つ補助金一覧

創業時に役に立つ補助金一覧

創業した時や創業から間もないころは、売上拡大のための開発や設備投資にかかる費用、業務コストをカットするためのツールの導入費用など様々な面で資金が必要となります。
そのような時、国や自治体からの補助金、助成金を受けることができれば、事業の助けになります。

中小企業庁の注目の補助金

創業から間もない中小企業(個人事業主を含む)が使いやすい補助金は、設備投資やシステムの導入などの費用を補助してもらえる

・ものづくり補助金
・小規模事業持続化補助金
・IT導入補助金

です。
これらは「中小企業生産性革命推進事業」と称され、国からの一体的な補助対象という扱いとなりますが、それぞれ別個の補助金として年に数回公募されています。

ものづくり補助金

創業時に役立つ補助金といえば、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。平成30年度第二次補正予算では、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援する補助金として、「IT導入補助金」、「小規模事業者持続化補助金」と合わせ1,100億円の予算が掲げられました。
特に生産性や品質を上げるための費用など、どの事業でも必要といえる費用が対象になることから、幅広い業種での活用が可能です。
平成31年度当初予算では、新規で「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」(予算50億円)に変わり、1者のみの応募はできず、2者から10者での応募が対象となり、より地域経済への波及効果の高い取り組みを支援するものが登場しています。

公募中の「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」(参考)
【平成31年度 2次公募】
公募期間 【書面申請】
2019年8月26日(月)~9月27日(金)
【電子申請】
2019年9月中旬~9月30日(月)15時
採択発表 2019年11月中予定
参考URL https://www.chuokai.or.jp/hotinfo/mhr2_koubo31fy.html
※公募情報は変更となる可能性がありますので、一度、専門家にご相談ください。


【補助金の額】
補助率 補助上限額
企業間データ活用型 1/2(一定の要件下で2/3) 2,000万円/者
地域経済牽引型 同上 1,000万円/者
・事業の遂行に必要な専門家を活用する場合は、30万円アップします。

小規模事業持続化補助金

小規模事業者の持続的な経営を行うために、商工会などと一体となって取り組む販路開拓や業務効率化を支援する補助金です。
たとえば、ホームページのリニューアルや、設備のバリアフリー化など、どのような事業でも利用できそうな幅広い活動が対象となります。
平成30年度補正予算案では、補助上限額は50万円、複数の事業者で行った共同設備投資の場合は500万円(50万円×事業者の数)、補助率は3分の2で実施されました。

小規模事業支援推進事業とは
平成31年度予算で、地方公共団体による小規模事業者支援推進事業(自治体連携型持続化補助金)(予算:10億円)が創設されました。
小規模事業者持続化補助金を地方公共団体が支援する場合、国が地方公共団体にその負担の2分の1を補助するという仕組みです。
予算額から、大規模な支援とは言えませんが、地方公共団体からの補助金や助成金がやや受けやすくなるかも知れません。

IT導入補助金

業務効率化や売上向上等のためのITツールの導入費用の支援です。
たとえば、会計ソフトの導入費用や、販売情報を管理するクラウドシステムの導入費用などが対象となります。
平成30年度補正予算案では、補助上限額は450万円、下限額は40万円、補助率は2分の1でした。
年々、IT導入補助金としての予算枠は減少傾向にあり、今後も同等の要件での募集があれば高めの競争率となることが予想されます。

東京都の「創業助成金」

さて、国からの自治体の創業助成金もチェックしましょう。
東京都の「創業助成金」とは、都内での創業を計画されている個人や創業後5年未満の中小企業(個人事業主を含む)に対し、事業のための設備投資や人件費、賃借料等の創業期に必要な経費を助成してくれるものです。
助成限度額は300万円(下限100万円)で、助成率は3分の2となっています。
平成27年度~29年度の採択者は、その50%が30代以下の若手創業者となっていることから、若い経営者の方でも積極的にトライする価値があります。

まとめ

どの補助金、助成金にしても募期間は非常に短期で、採択は競争となります。
補助金、助成金の応募前に、弊社にて無料で開催している補助金説明会にご参加ください。